藤 森 定 夫

 

典型的で軽快な紳士、藤森定夫は東京の東日暮里に住いを構えていた。彼は、近所の商人から外国人観光客まで、気軽に自宅のアトリエ・スタジオに招待した。彼はお茶を飲みながら、人から様々な事を学んだり、自身の知識を他の人と分かち合う事を好んだ。

藤森は伝統的な日本版画家であった。精巧に掘られた木版に筆で色を塗り、それを紙に写す。木版から一枚一枚の紙に写された絵は、それぞれ色が微妙に異なり、どれも個性的なものであった。藤森は版画限定版だけではなく年賀状のデザイナーとしても有名であった。世界中の人々は毎年年賀状の新しいデザインを楽しみにしていた。

晩年には、これから活躍する新しいアーティストの指導に当たった。彼は伝統的な版画の技術を新しい世代へ伝える事に喜びを覚えた。版画と共に、日本の伝統的な音楽、三味線、琴、尺八を新しい世代へ伝える事にも情熱を持っていた。

藤森定夫 (ふじもり・さだお)1982

藤森定夫 (ふじもり・さだお)1982