フレームの選択について
家の壁に飾るのに最適な作品を見つけたとしましょう。その時ジレンマが発生します… さて、どのようなフレームに入れたらよいのか… フレームのデザインはさておいて、まずその作品を楽しむために如何にしたらその作品を展示し、同時に保護しできるかについて考えてみましょう。フレームの仕方は大きく3つに分けられます。ガラスを枠材で囲んだフレーム。枠材だけを使ったオープンフレーム。そしてフロートフレーム。さらにその3つのカテゴリーの一つ一つの中に細かな分類があります。それらのオプションの中でどれが一番目的に合ったものであるかは、作品が油絵、アクリル画、水彩画のいずれであるかによって大きく異なってきます。さらにその作品が絵画、写真、デジタル印刷であるか、そしてそれがキャンバスに描かれたものか、紙に描かれたものかによっても異なってきます。
絵画:
油絵は古く非常に価値があり損傷を受けやすい場合を除いて、ガラスの付いたフレームに入れることはほとんどありません。その理由は油絵の具が乾燥し完全に酸化して硬化するのに何年もかかるからです。完全に乾く前にガラスで密閉されたフレームに入れると、キャンバス上に湿気が発生し、その作品を劣化させてしまいます。水と湿気はキャンバスや紙に描かれた作品にとって相性が悪いのです。塗られた油絵の具の厚さにもよりますが、油絵が完成してから完全に乾いて硬化するまでに6か月から2年かかります。乾いた後初めて表面にニスを塗ることができます。何故かというと、完全に硬化する前にニスを塗ると、ニスの下の油絵の具がその後も乾燥し続けるため、ニスにひびが入ってしまうからです。ニスを塗ったばかりの作品、あるいはニスを塗っていない油絵に最適なフレームは、オープンフレームまたはフロートフレームです。ガラスの下に硬化した油絵を置くことを選択した場合は、絵画が呼吸できるようにガラスとキャンバスの間にスペーサーを入れることが絶対に必要となります。
アクリル画に使用される絵の具は水性であるため、その蒸発によって非常に速く乾きます。さらにアクリル画は温度変化に伴って伸縮しやすく、湿気の多い状態では湿気や汚れを吸収しやすくなります。伸縮すると塗料にひびが入ってしまうので、直射日光が当たらないようにし、温度や湿度の変化にさらされないことを確認してから作品を展示することが必要となります。油絵と同様にガラス付きのフレームを使用する場合、キャンバスとガラスの間にスペーサーを入れる必要があります。その場合は完成後すぐに額装するのが大事です。紙の上に描かれたアクリル画は、ガラス付きのフレーム、オープンフレームにかかわらず、防湿材取り付けた裏板を使用する必要があります。
紙に描かれた作品:
水彩画、ドローイング、写真、紙のデジタルプリントは、紙の脆弱性とその反りやすい性質のため、ほとんどの場合ガラス付きのフレームに収められます。マットあるいはスペーサーのどちらを使用するにしても、作品自体がガラスに直接接触させないことが重要です。フレーム制作の全体的なコストを大幅に増加させてしまう可能性はありますが、UV保護と反射防止の両方を備えたミュージアムガラスを使用することを強くお勧めします。ミュージアムガラスを使用することによって、光による損傷から作品を保護だけではなく、どの角度から見ても作品が鮮明に鑑賞できるようになります。紙に描かれた作品上記以外のフレーミング・オプションとしては、作品を剛性の高い基盤に取り付け、それをフロートフレームにするか、あるいは基盤に取り付けた作品をそのままフレームなしで展示するというのもあります。このオプションは、現代作品を展示する状況では、ミニマリスト的展示方法として素晴らしい効果があります。ただしこのオプションを選択する場合、一旦設定したら後、それ以外の設定は不可能になるということを心得ておいてください。
様々ななフレーミング・オプションの外観と機能を理解されたい方は、下のイメージをご覧ください。個々の詳細については、イメージをクリックしてください。今回は絵画をいかに保護するかに焦点を置いてお話しました。次回は作品を展示する事に焦点を当ててお話をしたいと思います。